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第二歌集です。
生き延びたいひとに読んでほしい。
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| 2016.07.04 Monday | - | - | - |
 「はならび」3号を開いてから閉じるまで。

生クリームのことをことを考えると切なくなるくらいには寒い夜です。

早稲田短歌会の同人誌「はならび」3号を読みました。
以下、ずんときた歌を少しずつ。
Twitterで流させてもらったものと同じです。




開栓のときに力を入れすぎて瓶に入ってしまう彗星
          新上達也「遠すぎて見えない」

 力を入れすぎたら彗星が。
 何故と訝しみながらも、鮮やかさに惹かれて、この歌に続く世界を見たいと思った。

高いところにある電球も金平糖もあんまり食べると体に悪い
             沖野樹里「Wonder-Radio」

そこに火が揺れているからさみしくて中央分離帯の雪どけ
              狩野悠佳子「一滴の逢瀬」

現場監督がカナリア この街で最先端のスカートめくり
             狩野悠佳子「一滴の逢瀬」


 リズムとしては、「カナリア」まで一気に口にしたい。真顔で。

火曜日に彼女に会うので火曜日を結んだ線で輪郭を描く
            佐久間慧「コンパクト・カルチャー」

 「火曜日を結んだ線」とは何やろか。カレンダーの火曜日の部分を結んでいく線?
 線だけが目の前に現れて揺れているように見える。

一駅分歩いて後ろを振り返る 一駅分の道が続いてる
           佐久間慧「コンパクト・カルチャー」

 上句、下句ともに字余りのところでスピード感のあるリズム。

待つたびに快速が来る そのどれを選んでもかならず海に着く
              新上達也「遠すぎて見えない」

 不思議な表現。<待つたびに>ってどういうんやろ。
 <海に着く>の落とし方も面白い。

こんなにも落ち着くのであれば椅子とは何か 僕のためにも
                 平英之「学びの草っ原」

 <椅子とは何か>に持ち込むまでの不自然にも思えるほどかたい言葉遣いと、
 <僕のためにも>にちらりと覗く作中主体の表情の差を思う。

ニューデリー特派員の妻は待つ夕刊の続きとして朝刊を
             中川治輝「われは消費者」

お気に入りの赤いヒールを履いている後姿のきれいな犬よ
                久石ソナ「野に放つ」

お布団を蹴飛ばしたりして毎晩のように悪い子になりたいのかい?
                久石ソナ「野に放つ」

ラジオから伯父に良く似た声がして合意の上でしたのだと泣く
                 ほとり「合意の上で」

 不思議な設定。声だけなのに、伯父のイメージがぐんと浮かび上がって、
 しかも何を謝っているのか分からず、作中主体の感情も見えてこずに、こわい。

おにぎりをいますぐ買ってきてほしい三角定規でも構わない
                 ほとり「合意の上で」

エスカレーターを昇つてやつて来る人は後ろの人を味方につけて
               山階基「切符を失くして」

 目の付けどころが面白い。エスカレーターにぞろぞろと並んで昇ってくる人々。
 ものすごく、先頭にいたい。

これで済む世界にとてもありがたう切符を失くして二回払つた
                山階基「切符を失くして」





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コメント:遠い、近い。

| 2013.02.05 Tuesday | 短歌誘拐 | comments(0) | trackbacks(0) |
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