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第二歌集です。
生き延びたいひとに読んでほしい。
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| 2016.07.04 Monday | - | - | - |
 同人誌「率」を読んで。
わたしがほしいのは、豆大福なのです。(挨拶)

今月はじめから短歌同人誌「率」2号を読み、
Twitterでつぶやいたものをまとめました。




黙すことながきゆふさり息とめて李の淡き谷に歯を立つ
                      小原奈実「贄」

撃ちころしてくださいわたし身体中ひかりに塗れとてもしあわせ
                    馬場めぐみ「撃ちころして」

鉄橋を過ぎてゆきつつ大きなる窓は光の痙攣を見す
                   内山晶太「蝉と季節」


 「光の痙攣」にときめく。過ぎ去っていくもの。

右耳に近き窓より鈴虫のこゑ痙攣のごとく触れくる
                     小原奈実「贄」


 「痙攣」といえば、この歌も。
 断続的でふるえるような声が、聞こえるのではなく、「触れくる」。
 皮膚がざわっとする。

うしろむきに歩いて花粉を回避する適当な世界の適当なわたし
              藪内亮輔「適当な世界の適当なわたし」

なんとなく嫌ひだよつて人ばかりあつめて紫陽花にしてしまひたい
              藪内亮輔「適当な世界の適当なわたし


 とてつもなく嫌いな人ではなく、なんとなく嫌いな人ってやっかい。

わたしを信じていて ゆめをみて 絶望を斡旋するのがわたしのよろこび
                          瀬戸夏子「二上」


 「斡旋」にぐっとくる。提供とかプレゼントとかではないのよ。

さめるからゆめでありゆめであるからさめる ありがとう、洗って返すね
                      川島信敬「サンデー」


 句跨りと字余りを合わせた息苦しい感じ。
 息苦しいのに、妙にさばさばしている。

速度計の針はふるえて絶対にほんとうに泣くか幾度も聞いた
                         平岡直子「装飾品」 


 「絶対にほんとうに」「幾度も」という強い言葉を並べたてての確認。
 「ふるえて」との対比が面白い。

バス停でひととき虫に懐かれてどうせ誰にでも降る雨だった
                     平岡直子「装飾品」

 「どうせ」がいいなあ。

紅つばき揺れてあなたに伝わればいいなくらいでレーザービーム
                松永洋平「世界はそんなに素晴らしくない」

 最後の唐突さ。インパクトが強く、今回の「率」の歌でいちばん最初に覚えた。

掃除機でパンダを倒す夢を見て身近な人がパンダに見える
               松永洋平「世界はそんなに素晴らしくない」


 イメージが魅力的すぎてたまらん。映像化したい。
 いや、パンダ可哀想やけど。

アフリカの骨になるって背を伸ばしあなたは白いブラウスを着る
              松永洋平「世界はそんなに素晴らしくない」


 骨、背、白いブラウスとたたみかけられるセクシャルなイメージ。
 「着る」という動作で、着ていなかった時のことまで想起する。

体罰のごときあめゆき何処ゆきのバスとも知らず乗りこみにけり
                   吉田隼人「砂糖と亡霊」

ゆれてやまぬ心臓(クウル)めがけて確実にづどん、とやつて呉れぬか翡翠
                      吉田隼人「砂糖と亡霊」

 いざというときのための翡翠がほしい。

薬壜洗ひ干されてゐたりけりまるでからだのないひとのやう
                       吉田隼人「砂糖と亡霊」


 中身のない薬壜を「からだのないひと」と例える。臓器のないひとではなく。
 ふしぎで忘れられなかった。

外国の小鳥のようにゆっくりとゆっくりとその果実はみのる
      吉田竜宇「人がいなくても血が流れることがあります。」


 「ゆっくりと」のリフレインで生まれるリズム。

踏まずには行けない花の花束の花畑まるで地雷のような
       吉田竜宇「人がいなくても血が流れることがあります。」
| 2012.12.16 Sunday | 短歌誘拐 | comments(0) | trackbacks(0) |
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| 2016.07.04 Monday | - | - | - |
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